基礎知識

ザガーロはAGA治療にどのように効果を発揮するのか?検証

AGA治療に承認されている医薬品は、「リアップ」や「ロゲイン」に配合されているミノキシジル、「プロペシア」に配合されているフィナステリド、そして「ザガーロ」に配合されているデュタステリドしかありません。

この3つの成分の中で最も新しいものがデュタステリドです。

デュタステリドが配合されているザガールはどのようにAGA治療に効果を発揮するのか、特徴や強み、副作用などを解説します。

ザガーロとは

AGA治療薬の中でもっとも直近で承認されたのがザガーロです。

AGA治療薬の新薬であるザガーロとはどのような医薬品なのか、ザガーロの特徴や有効成分デュタステリドについて解説します。

ザガーロとは

「ザガーロ」は2015年にグラクソ・スミスクライン社がAGA治療薬として開発した医薬品で、日本では2016年から販売されています。

ザガーロにはAGA治療に有効な成分、デュタステリドが配合されていることが大きな特徴です。

商品名は「ザガーロカプセル」で、1mgと0.5mgの二種類があります。

デュタステリドとは

ザガーロに配合されている有効成分デュタステリドは、男性ホルモンの一種であるテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変化させる酵素の働きを阻害する働きを持ちます。

DHTが増殖するとAGAや前立腺肥大を引き起こすため、デュタステリドはAGA治療薬や前立腺肥大の治療薬として使われているのです。

日本でAGA治療薬として承認されているのはミノキシジルとフィナステリド、デュタステリドの3つしかありません。

ただし、デュタステリドがAGA治療薬として認められているのは世界的に見ても日本と韓国のみです。

日本と韓国以外のデュタステリド配合の医薬品は前立腺肥大にしか使用されてなく、代表的な商品名は「アボルブ」です。

ザガーロはどこで購入できるのか

ザガーロは医療用医薬品のため、基本的には医師から処方されないと入手できません。

街のドラッグストアや薬局では販売していないのです。

ちなみに、病院やクリニックでザガーロを購入すると1ヶ月分の価格は8000円~10000円程度の費用が必要です。

AGA治療は保険適用外なので全額自己負担しなければいけません。

海外で製造されているザガーロを希望するのであれば個人輸入代行を通じて購入することができます。

ただし、前述したとおりデュタステリドがAGA治療として認められているのは日本と韓国だけです。

個人輸入で購入する医薬品は前立腺肥大の治療目的の医薬品しかありません。

ザガーロの効果を検証

髪の悩み、脱毛や薄毛の状態は人それぞれです。

ザガーロはどのような人に効果を発揮するのか、また、どのようにAGA治療に効果を発揮するのかを説明します。

ザガーロがAGA治療になぜ有効なのか

毛髪は、発毛してから成長期を経て退行した後に脱毛し、新たな発毛する、というサイクルを繰り返します。

この一連の流れは「ヘアサイクル」と呼ばれていますが、AGAはヘアサイクルが乱れ、毛髪が十分に成長せずに脱毛してしまうことが原因です。

通常、毛髪の成長期は3~5年間と言われていますが、DHTは毛髪の成長期を短期で終わらせてしまいます。

その結果、毛髪は早期に退行期を迎え太い毛髪に成長しないまま脱毛し薄毛が進行します。

テストステロンがDHTに変化するのは5αリダクターゼという酵素が要因ですが、ザガーロの有効成分デュタステリドはこの酵素の働きを止めるため、毛髪の成長が妨げられなくなり太くて健康な毛髪の成長を促進します。

ザガーロが効果を発揮する人

ザガーロはAGA(壮年性脱毛症)の人、男性型脱毛症の人に効果を発揮します。

その反面、ストレスでの脱毛や円形脱毛症、病気による脱毛、薬の副作用での脱毛に対しては効果を発揮しません。

AGAや男性型脱毛症以外の人はフィナステリド以外の育毛剤を使用することをおすすめします。

また、デュタステリド自身に発毛効果はないため、完全に毛根まで抜けきったという人にも効果は発揮しません。

ザガーロを使用してはいけない人、医師の相談が必要な人

ザガーロは未成年や女性が使用してはいけません。

このような人たちには安全性が証明されていないからです。
また、有効成分デュタステリドは男性ホルモンに作用する成分のため、女性に対する効果が期待できません。

特に妊娠中の女性や授乳中の女性は摂取しないように注意してください。
デュタステリドが胎児や乳児の生殖機能に悪影響を与える可能性があるからです。

なお、デュタステリドは服用するだけではなく皮膚からも吸収されます。

触れても成分を摂取することになりますので女性は触れることも厳禁です。
また、肝機能に重度の障害を持つ人は使用前に医師に相談してください。

ザガーロの効果を感じる期間

ザガーロは服用を開始してから早くても3ヶ月は経過しないと効果が実感できません。

服用を開始して1か月、2か月効果が出なくても諦めず使用を継続してください。
乱れたヘアサイクルが正常化するためには3ヶ月は必要とするからです。

ザガーロを使用するのであれば、少なくとも半年間は毎日服用しなければいけないと認識しましょう。

グラクソ・スミスクライン社の臨床データでは、効果を感じると回答する人は12週間後から増え、多くの人は半年後からです。

ザガーロを継続して使用すると耐性ができるのか

長期間かつ日常的に服用すると効果が効きにくくなる(耐性ができる)医薬品があります。

ザガーロは少なくとも半年は服用しなければいけない医薬品のため、耐性ができるのでは、と思う人もいるかもしれません。

しかしザガーロで耐性が起こることはありません。根気よく服用することが重要です。

デュタステリドとフィナステリドの違い

デュタステリドと同様にテストステロンがDHTへの変化を、かつ増殖を防ぐ成分にフィナステリドがあります。

フィナステリドはメルク社の「プロペシア」などに配合されていますが、どのような違いがあるのでしょうか?解説します。

効果範囲の違い

AGAはテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHTに変化し毛髪の成長を止めるため、と紹介しました。

この酵素にはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅡ型にしか作用せずデュタステリドは両方に作用します。

さらに、フィナステリドは前頭部や頭頂部の薄毛に効果を発揮し、デュタステリドは頭皮全体に効果を発揮します。
デュタステリドのほうがAGA治療に高い効果が期待できます。

治療目的の違い

デュタステリドとフィナステリドは処方の目的も違います。

フィナステリドは「AGAの進行を遅くするため」に処方され、デュタステリドは「AGAを改善するため」に処方されます。

デュタステリドはフィナステリドを使用してもAGAの進行が止まらない人や症状が重い人、早く治療したい、という人向けの医薬品です。

ザガーロの副作用

ザガーロは医薬品です。

医薬品には必ず副作用を伴うため、副作用が気になる人もいるのではないでしょうか?ザガーロの副作用、安全性について解説します。

ザガーロは安全な医薬品なのか?

ザガーロは守られた用量を正しく使用すれば安全な医薬品です。

副作用が起こる可能性はゼロではありませんがほとんどが軽微な症状です。
また、ごく稀に重篤な副作用が起きた場合は服用した人の体質に問題がある場合です。安心して使用してください。

ザガーロの副作用

ザガーロは安全で副作用が起きる確率が低い医薬品ではあるものの副作用が起きる可能性はゼロではありません。
具体的な副作用の症状を紹介します。

男子機能の低下

ザガーロで起きる副作用のうち、もっとも高い頻度で見られるのが勃起不全、性欲減退、精液の減少といった男性機能の低下です。

これはデュタステリドが男性ホルモンに作用するため起こると言われている症状です。

複数の国や地域で同時に行われる国際臨床試験では男性機能が低下する副作用に関する確率が公表されています。

具体的には、勃起不全が4.3%、性欲減退が3.9%、精液減少が1.9%といった結果となっています。

この数字は決して高いとは言えませんが、同様の成分であるフィナステリドよりもやや高い発生確率となります。

肝機能障害

デュタステリドは肝臓で代謝するため、服用すると肝臓に負担をかけます。

その結果肝機能障害が起きる可能性があります。

肝機能障害が起こると身体から不要物や毒物が排出されないので重篤な状態になるので見過ごしてはいけません。

もし黄疸が出るようなことがあればすぐに使用を中止してください。
肝機能障害に対して不安を感じる人はデュタステリドを使用する前には肝臓の数値を計測し、使用後の数値と比較すると安心です。

乳房障害

デュタステリドを服用すると乳房の女性化、乳頭痛、乳房不快感といった乳房障害の副作用の症状が出る、という報告が稀にあります。

しかし因果関係が証明されていませんし発生する頻度としては1%未満です。

ザガーロを使用すると脱毛が増えた?

ザガーロを使用ししばらくすると脱毛が増えた、という声を聞くことがあります。

しかしこれはザガーロが効果を発揮し始めた際に起こる現象なので安心してください。

AGAはヘアサイクルが乱れて毛髪が十分に成長しないことが原因、と説明しました。

ザガーロが効果を発揮しヘアサイクルが正常になると健康な毛髪を成長させるために、成長しきれない細い毛髪が脱毛します。

この症状は初期脱毛と言われヘアサイクルが整ってきた証拠です。

ザガーロの注意点

ザガーロは安全な医薬品ですが誤った服用をすると副作用が起きる可能性が高くなります。

さらに使用時には避けなければ行けないことがあります。ザガーロの注意点を紹介します。

一日の使用量を守る

ザガーロの使用量は一日一回1錠と決められているため、用量はきちんと守って下さい。

ザガーロは長期間服用する必要があるため、早く効果を出そうと多く服用したくなるかもしれません。

しかし決められた量より多く服用したとしても効果に変化はありませんし、なにより不経済です。さらに副作用のリスクも増します。

また、ザガーロを日々服用する時間に指定はありませんが、決まった時間に服用するようにしてください。

不定期な時間に服用すると時間帯次第で一日に複数錠服用するのと同じで、身体に必要以上の成分を摂取することになります。

副作用が起きる可能性が高くなります。

カプセルを開けて使用しない

ザガーロカプセルを服用する時には、カプセルを噛んでカプセルを開けないようにして、そのまま飲み込んでください。

理由は女性や子供に成分を触れさせないようにするためです。

デュタステリドは経口だけではなく皮膚からでも吸収してしまいます。
もし女性が成分に触れたらすぐに洗い流してください。

人にあげてはいけない

ザガーロは医師から処方される医薬品です。

知人や家族に譲るようなことをせずに、自分だけのために使ってください。

譲渡した人が体調に問題のある、もしくはザガーロと相性の悪い人であれば、服用すると重篤な副作用が起きる可能性があります。

また、何らかの理由でカプセルが割れてしまい露出した成分を女性が触れてしまう、ということもあるからです。

献血ができない

ザガーロを服用している人は献血をしてはいけません。

献血した血液が女性や未成年に輸血される可能性があります。
さらに、服用を中止しても半年以上は期間を空けなければいけません。

体内に摂取したデュタステリドが体外に排出されるまでには、半年近くの期間を要するからです。

前立腺に関する疾病の検査を受ける時

前立腺がんの検査を受ける人は医師にザガーロを使用していることを申告してください。

デュタステリドは前立腺がんで検査するPRA値を下げる働きを持つからです。

検査ではデュタステリドを使用していることを加味したで評価しなければいけません。

ザガーロの併用禁忌薬はあるのか

ザガーロに併用禁忌薬はありません。

しかし注意しなければいけない薬はあるため服用している薬があれば医師に相談しましょう。

例えば、CYP3A阻害作用のある薬と併用するとザガーロの血中濃度が上がってしまいます。

個人輸入には要注意

AGA治療は全額自己負担のため、個人輸入で海外製のデュタステリド配合の医薬品の購入を考えているという人も多いでしょう。

確かに個人輸入は経済的にお得ですが、様々なリスクがあるため慎重に検討して下さい。

個人輸入で購入した製品には品質の保証がありませんし、悪徳業者に依頼すると偽造品や粗悪品が送られてくることもあります。

また、日本国内で購入した医薬品で副作用が起きた場合、国からの救済措置がありますが、個人輸入ではこの制度は適用されません。

個人輸入で購入した医薬品は何が起きても自己責任であることを忘れてはいけません。

まとめ

最新のAGA治療薬として高い効果が期待できるザガーロです。

しかし髪の悩みや薄毛の状態によっては向き不向きもありますし、体調や体質によってはリスクも発生します。

使用を検討している人はまずは医師の診察を受けてから判断を仰ぐことをおすすめします。

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