服用するタイプのAGAの治療薬としてもっとも有名なのは「プロペシア」でしょう。
プロペシアは世界60カ国以上で承認されており、認知度だけではなく効果も高いことが実証されています。
しかしプロペシアはAGA治療に万能ではありません。
プロペシアがどのようにAGA治療に効果を発揮するのかを解説するとともに、副作用や安全に使用するための方法を紹介します。
プロペシアとは?その特徴を紹介
世界初のAGA治療の医薬品として承認されたのがプロペシアです。
まずはプロペシアの概要と特徴、さらに配合されている有効成分、フィナステリドについて解説します。
プロペシアの歴史
プロペシアはアメリカのメルク社が開発し、1997年に発売された医薬品です。
AGA治療に有効な成分、フィナステリドが配合されている医薬品で、世界初の「飲むAGA治療薬」として承認を得ています。
現在、プロペシアは世界60カ国以上でその効果、信頼性、安全性が認められています。
日本では、プロペシメルク社から製造販売権が得た万有製薬(現在のMSD)が2005年からプロペシアを販売しています。
フィナステリドとは
プロペシアに配合されている有効成分フィナステリドは、もともとメルク社が前立腺肥大の治療薬の成分として開発されました。
1992年に「プロスカー」として発売されましたが、患者の脱毛が止まった、または薄毛が解消した、といった症状が見られました。
この結果を受けてメルク社はフィナステリドをAGA治療に転用するように研究を進めプロペシアを開発しました。
プロペシアの臨床検査では3年服用した人には80%近い人が薄毛の改善を実感している、というデータが出ています。
効果の高さが窺えます。
プロペシアを購入する方法
いくらプロペシアを購入したくても町のドラッグストアや薬局では販売していません。
プロペシアを購入するための方法を紹介します。
病院・クリニック
まずはAGA治療を行っている病院やクリニックです。
プロペシアは「医療用医薬品」に指定されている医薬品のため、医師の処方がないと販売することが許されていません。
日本国内でプロペシアの購入が唯一認められているのはAGA治療を行っている病院やクリニックしか存在しないのです。
個人輸入代行
日本国内でプロペシアを病院やクリニック以外に、海外製品を個人輸入代行で購入することができます。
日本で医療用医薬品に指定されている薬を個人輸入で入手が可能であることは理由があります。
法律では、営業目的ではなく個人の使用目的であれば海外製品を輸入することが認められているからです。
「自分のため」であれば未承認の医薬品を購入しても全く問題はありません。
ただし、個人輸入には副作用などのリスクが起きても全て自己責任であることは認識してください。
プロペシアがAGA治療に与える効果を解説
プロペシアに配合されているフィナステリドはどのように脱毛や薄毛予防に働くのでしょうか。
プロペシアの効果について検証します。
プロペシアは脱毛予防にどう働くのか
毛髪は発毛してから成長し、退行期を迎えて脱毛します。
しかしAGAの人は毛髪が完全に成長しないうちに通常よりはるかに短い期間で脱毛し、その結果薄毛が進行します。
プロペシアに配合されているフィナステリドは、毛髪の成長を止めないようにすることによって脱毛や薄毛の進行を防ぎます。
AGAは、男性ホルモンの一種にテストステロンが5aリダクターゼという酵素と結びつくことがきっかけで起こります。
テストステロンがこの酵素と結びつくと、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンに変化します。
このDHTは非常に強力な男性ホルモンのため、毛髪の成長を止めてしまうのです。
フィナステリドはテストステロンがDHTに変化させる酵素、5aリダクターゼの働きを阻害し、毛髪の成長を促進します。
プロペシアでは発毛しない?
AGA治療の有効成分はいくつかありますが、フィナステリドは脱毛防止、薄毛改善に効果を発揮する「守りのAGA治療薬」です。
プロペシアの臨床検査では発毛の効果が見られた、というデータもありますが基本的には発毛は期待できないとお考え下さい。
プロペシアが効果を発揮する人
プロペシアはAGA(男性型脱毛症)や壮年性脱毛症といった症状に効果を発揮します。
ストレスによる円形脱毛症、疾病による脱毛、医薬品の副作用に伴う脱毛の人には効果が期待できないためご注意ください。
プロペシアの使用を禁じられている人
プロペシアを女性は使用してはいけません。
プロペシアはAGAを治療するためのものですが、女性はAGAを発症することがないからです。
特に妊娠中の人や授乳中の人はご注意ください。
フィナステリドが男性ホルモンに影響する成分のため、摂取すると胎児や乳児の生殖機能に影響を及ぼす可能性があります。
ちなみに、フィナステリドは皮膚からも吸収されるので妊娠中や授乳中の女性はフィナステリドの成分を触るのも厳禁です。
医師に相談したほうがいい人
AST(GOT)、ALT(AGP)、γ-GTPといった肝機能の数値が基準値以上の人はプロペシアを使用する前には医師に相談してください。
プロペシアを退社するのは肝臓ですが、代謝する際には肝臓に負担をかけるため、副作用が起きる可能性があるからです。
プロペシアの効果を高めるには
プロペシアの効果を高めるためのポイントが2つあります。
それは、「髪に優しい生活を送ること」と「少なくとも半年以上使用すること」です。
プロペシアは効果が高い治療薬ですが髪に優しくない生活を送っている人は効果を実感することはないでしょう。
暴飲暴食を避け、喫煙は控え、睡眠は十分に摂ってください。
また、プロペシアの効果を実感できるのは早くても3か月~半年後です。
これは毛髪の成長サイクルが正常な状態に戻るためには最低3か月を要するからです。
服用を開始して1か月や2か月で効果が出ないからといって諦めないでください。
プロペシアの臨床データでは、効果を実感する使用者の比率が高くなるのは一年後です。
プロペシアの副作用とは
どのような医薬品にも副作用があります。
プロペシアは安全な医薬品ではあるものの副作用が起きる可能性はゼロではありません。
プロペシアの副作用を紹介します。
プロペシアは安全な医薬品です
プロペシアは医薬品なので副作用がゼロではありませんが、ごくまれにしか起きません。
市販している風邪薬を服用すると眠くなることがあるがこれも副作用の一種で、服用した人の10%に発生すると言われています。
ところがフィナステリドの副作用が発生する割合は1~5%程度なので、市販の風邪薬を服用して眠気が起きる可能性より低い確率であることが理解いただけるでしょう。
フィナステリドの副作用
「ごくまれにしか起きない」とは言えフィナステリドには副作用が起きる可能性があります。具体的な症例を紹介します。
脱け毛が増えた
プロペシアの服用を開始したら抜け毛が増えた、という症状がありますがこれはプロペシアが効果を発揮しているきざしです。
AGAは毛髪の成長が短期間で止まってしまうことによって薄毛を進行すると紹介しました。
フィナステリドが効果を発揮すると、太くて健康な毛髪を成長させるために細い毛髪を強制的に脱毛させます。
発毛剤や育毛剤が効果を発揮し一時的に脱毛することは「初期脱毛」という状態です。ご安心ください。
男性機能の低下
プロペシアを服用すると勃起不全や精液の減少、性欲減退といった副作用が起きる可能性があります。
これはフィナステリドが男性ホルモンに働きかけるので男性機能が低下してしまうことことに起因します。
ただ、この副作用はプロペシアを服用している人のうち1%程度の発生率なのであまり気にしなくてもよいでしょう。
肝機能障害
前述の通りフィナステリドは肝臓で代謝されます。
しかしこれはフィナステリドだけではなく多くの医薬品に共通することです。
プロペシアを服用してだるさや食欲不振を感じるようなことがあれば、すぐに使用を中止して医師に相談してください。
肝機能障害が起きている可能性があります。
プロペシアを安全に使うには
プロペシアや有効成分フィナステリドにはわずかながらもリスクがあることを紹介しました。
では、プロペシアをより安全に使うための注意点や、使用するにあたり忘れてはいけないポイントを解説します。
個人輸入は自己責任です
AGA治療は保険適用外なので、クリニックや病院での治療費や医薬品の購入は全て実費です。
経済的な負担を考えると価格の低い個人輸入代行を利用したい、という人は多いでしょう。確かにコスト面では個人輸入代行には大きなメリットがあります。
しかし個人輸入には様々なリスクがあることを忘れてはいけません。
悪質な業者を利用してしまい品質の悪いものや偽造品が送られてくるかもしれません。
また、もし国内で流通している医薬品で副作用が起きた場合、国の救済措置があります。
しかし個人輸入で購入した医薬品で副作用が起きたとしても国の救済措置はありません。
個人輸入は何が起きても自己責任、ということは決して忘れないでください。
正しく使用する
脱毛防止や効果を高めるために当然のこと、安全面のためにもプロペシアは正しく使用してください。
プロペシアの服用や取り扱いに関する注意点を紹介します。
毎日決まった時間に服用する
プロペシアの用量は必ず守ってください。
プロペシアの一日の使用量は決められており、「一回1錠」のみです。
一日一回1錠、と聞くと少ないように感じるかもしれません。
しかもプロペシアは短期間で効果を実感しにくい特徴を持ちます。
しかし早く効果を出したいと決められた以上の用量を服用しても意味はありません。
副作用が起きる可能性がありますし、不経済です。
また、プロペシアは毎日一定の時間帯に服用してください。
朝服用して翌朝飲み忘れたのでその晩に服用し、さらにその翌朝服用する、ということは避けましょう。
24時間以内に2回服用すると体内に摂取する成分が多くなるため副作用のリスクが増します。
錠剤を割ってはいけない
海外の医薬品の中には配合されている成分が多いためピルカッターなどでカットして服用することを推奨するものがあります。
しかしプロペシアの錠剤は決して割ったり砕いたりしないでください。
プロペシアの錠剤はコーティングされていますが、割ることによってフィナステリドの成分がむき出しになってしまいます。
割れた錠剤や破片に妊娠中や授乳中の女性が触れてしまうと非常に危険です。
プロペシアを他の薬と併用してもよいのか
医薬品の中には「飲み合わせが悪い薬」や「併用禁忌薬」があります。
しかしプロペシアに併用禁忌薬ないのであまり神経質になる必要はありません。ご安心ください。
フィナステリドは脱毛防止に効果があっても発毛効果は低い成分です。
発毛効果の高いミノキシジルと併せて服用しても問題ありません。
また、男性機能が低下している人がプロペシアとED治療薬と併用しても特に問題は見られません。
しかしいずれも医薬品です。
プロペシアと併用したい薬がある時は医師に必ず相談しましょう。自己判断で併用するのはリスクがあります。
ジェネリックに問題はない?
現在、数多くのメーカーからプロペシアのジェネリック(後発品)が発売されています。
先発品と比較するとジェネリックは価格が安いため効果に疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし先発品とジェネリックは同様の効果があり、研究開発に費用がかからないので安い価格設定がされています。非常にお得と言えます。
ただし、もしジェネリック処方される場合や国内メーカーか知名度の高いメーカーを指定してください。
また、海外製品を購入する際には有名メーカーのものを選択してください。
安心して使えるからです。
残念ながら海外メーカーで製造された医薬品の中には品質に懸念があるものもあります。
ファイザー社のような有名なメーカー、もしくは知名度が低くても実績のあるメーカーの商品を選択してください。
まとめ
プロペシアはAGA治療に高い効果を発揮します。
しかし髪の悩みも人それぞれです。
プロペシアは発毛効果がないため、髪の毛を生やしたい、という人には向いていません。
真剣に薄毛を解消したい人は自身の状況をきちんと把握し、最適な薬を使うことをおすすめします。
そのためには、やはりプロであるAGA治療のクリニックで診察を受け医師のアドバイスを受けることが近道かもしれません。